
・平均寿命の更新
・少子高齢化
日本では超高齢化社会に突入し、ニュースや投資系の雑誌などで目にする事が多くなった確定拠出年金(かくていきょしゅつねんきん)
人生100年時代、老後2000万円問題などの影響から、証券会社などのトピックなどでも取り上げられるようになりました。
この記事では、初心者の方でも分かりやすく確定拠出年金(iDeCo)とは何なのか?を紹介しています。
この記事から分かること
・確定拠出年金とは何か?が理解出来る。
・個人型・企業型の違いが分かる。
・iDeCoの加入条件が理解できる。
この記事を通して確定拠出年金に興味を持っていただき、老後の資金作りに役立ててください。
老後2000万円問題とは?
2019年9月に金融庁が発表した報告書によると、日本人の老後資金が平均して2000万円不足しており、経済産業省の試算では3000万円に迫る2895万円の貯金が必要だと述べらえています。
金融庁の報告によると、老後の2000万円問題は以下の内容から算出できます。
・夫65歳 妻60歳 共に無職
・30年後の年齢(夫95 妻90)まで夫婦共に健在
・毎月55000円の赤字
(画像引用元:総務省)
毎月55000円×12ヶ月×30年=1980万円
およそ2000万円という計算ができます。
ここで注目すべきポイントがあります。消費支出は235.477円となっており、その内住居費に占める割合が5%となっています。
月額12000円という金額が算出でき、賃貸ではなく持家であること前提と捉えることができます。
今皆さんが払っている年金だけでは、老後の生活費を賄うことができないという訳です。
この問題を少しでも解決する為に今注目が集まっているのが確定拠出年金(iDeCo)
自身の年金にプラスしてもらうことができる年金として新しく設立され、投資とは少し違った立ち位置に値するものです。
そんな確定拠出年金(iDeCo)とは一体何なのか?
実際に確認していきましょう。
確定拠出年金とは?
確定拠出年金とは、毎月一定金額を掛金として、運用する投資商品を自らが自由に選んで投資をする年金のことです。
対象者は20歳以上60歳未満のほとんどの日本国民の方。
確定拠出年金は「企業型DC」と「個人型(iDeCo)」の2種類があります。
iDeCoとは?
確定拠出年金は「企業型DC」と「個人型(iDeCo)」の2種類がある為、iDeCoとは、個人型の確定拠出年金の方を指す訳です。
企業型 | 個人型(iDeCo) | |
確定拠出年金の加入 | 企業によっては、退職金の制度として導入されており、その場合は加入する・加入しないを選択できます。 | 自分の意思で加入が行える |
購入先の選択 | 会社から納付 | 各種証券口座などで自由に選択可能 |
運用商品 | 会社の選択 | |
納付方法 | 会社から天引きがほとんど | 自らが行う必要がある |
口座管理費 | 企業負担がほとんど | 自らが払う必要あり |
掛け金 | 企業が負担 | 自身が負担 |
fa-arrow-circle-rightチェック!
iDeCoは自分で運用する私的年金であり、国が運営する公的年金を補う制度
iDeCoの加入資格
勤め先の「企業型DC」への加入の有無によって、個人型に加入できる条件が異なってきます。
勤め先の企業が「企業型DC」に加入している場合
自身の勤め先の企業が「企業型DC」に加入している場合、掛金の負担は基本的には会社が行います。
会社が選んだ金融機関に任せるといった制約がある場合がほとんどです。
職種 | 月額上限 |
企業年金制度あり | 27000円 |
企業年金制度なし | 55000円 |
企業年金制度ありの方の月額上限は27.000円。企業年金制度なしの方の上限は55.000円となっています。
「企業型DC」と「個人型(iDeCo)」を組み合わせる場合
2つを組み合わせることは可能となっていますが、企業年金の加入のあり方で掛金の額が変わっていきます。
また、企業側が併用を認めている必要があります。
職種 | 月額上限 |
企業年金+企業型DC | 12.000円 |
企業型DCのみ | 20.000円 |
企業年金+企業型DCを併用する型の上限は月額12.000円となっており、企業型DCのみは月額上限20.000円となっています。
企業型DCに加入していない場合
勤め先が「企業型DC」に加入していない場合、職種や立場に応じて月額の条件は変わってきます。
職種 | 月額上限金額 |
公務員 | 12.000円 |
個人事業主 | 68.000円 (国民年金基金に加入している場合、合計で68000円が上限) |
確定給付型企業年金がある会社員 | 12.000円 |
企業年金・企業型DCどちらも未加入 | 23.000円 |
確定給付型企業年金がある会社員と公務員は月額上限12.000円。
個人事業主や学生の加入上限は68.000円。
(国民年金基金に加入している場合、合算で68.000円が上限)
企業年金・企業型DCどちらも未加入であるサラリーマンや主婦の型の上限は23.000円となっています。
iDeCoのメリット
iDeCoには様々なメリットがあります。
・加入者の掛金に対する所得控除が受けられる
・運用期間中の利益が非課税になる
・iDeCoでは受け取り時も一定額まで非課税になる
・利益を再投資に回せば、複利で運用が可能
・少額からでも投資可能
加入者の掛金に対する所得控除が受けられる
積み立てた金額が課税所得がら控除されます。
運用期間中の利益が非課税になる
運用期間中で得た利益は全額非課税となります。
通常の投資などで利益が発生した場合には20.315%の税金が課せられますが、iDeCoでは税金を課せられる事がない為、資産形成の助けとなってくれます。
iDeCoでは受け取り時も一定額まで非課税になる
一時金方式で受け取る場合には、退職所得控除が適用されます。
積み立て年数 | 退職所得控除の計算方法 |
20年以下 | 40万円×積立年数 |
20年超 | 70万円×(勤続年数ー20年)+800万円 |
70万円×(30年ー20年=10年)+800万円=1500万円
一時金方式で受け取る金額は1500万円まで非課税になります。
※退職所得控除は会社の退職金が出る場合においては合算となりますので注意が必要です。
iDeCoのデメリット
iDeCoにはデメリットも存在します。
iDeCoのデメリット
・60歳になるまで積み立て資産を引き出せない
・月額費・口座開設にお金がかかる
・投資信託を選択して運用する場合、収支がマイナスになる恐れもある
・会社の退職金によって受け取る際の税金が決まる
60歳になるまで積み立て資産を引き出せない
iDeCoには大きなデメリットもあります。それは、60歳までお金を引き出す事が出来ないということ
お金を引き出すことが出来ないため、他への投資商品へと元本を移すといったことができません。しかしどのみち老後の2000万円ものお金が足りない事が分かっているのですから、銀行に預けてお金を貯めるのも、iDeCoで積立を行うのもさほど変わった作業ではありません。
むしろ長期間に渡って引き出せないという事は無駄な支出が減る事。捉え方によってはメリットに変化していきます。
月額費・口座開設にお金がかかる
iDeCoの運用には月額費用 171円がかかってきます。
iDeCoの対象年齢は、20歳以上60歳未満のおよそ40年間。
171円×12ヶ月×40年=82080円
運用費で8万2千円のお金が必要になります。
また口座開設費用として、別途2829円のお金が必要となってきます。
※最近では月額費用がかからない証券会社も増えてきています。
会社の退職金によって受け取る際の税金が決まる
30歳から60歳までiDeCoを30年間運用した場合の非課税枠は1500万円でした。
そして退職金が2000万円、iDeCoの受け取り金額が一時金方式で500万円だったと仮定します。
退職金(2000万円)+iDeCo(500万円)ー退職所得非課税額(1500万円)=1000万円
1000万円が退職所得控除の対象となります。
1000万円が退職所得控除になりますが、分類が退職所得となります。
この場合に対象金額の半分だけが課税対象となります。
つまり1000万円の半分である500万円が課税対象として計算されます。
所得税と住民税を考慮すると500万円の所得に対してかかってくる税金はおよそ100万円。
iDeCoと退職金の関係をしっておき、退職時に備えておきましょう!